欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/16

EU産業・貿易

カード手数料に上限設定へ、欧州議会が法案可決

この記事の要約

欧州議会は10日、クレジットカードやデビットカードによる決済時の手数料に上限を設ける法案を賛成621、反対26の賛成多数で可決した。域内で使用されている幅広いペイメントカードにEU共通の規制を適用して手数料水準を全体とし […]

欧州議会は10日、クレジットカードやデビットカードによる決済時の手数料に上限を設ける法案を賛成621、反対26の賛成多数で可決した。域内で使用されている幅広いペイメントカードにEU共通の規制を適用して手数料水準を全体として引き下げ、消費者の負担軽減を図る。

EU内では年間約100億ユーロの「インターチェンジフィー」と呼ばれる手数料が加盟店側からカード発行会社に支払われており、これが小売価格に転嫁されて消費者の負担増につながっている。また、手数料水準は国によってばらつきが大きく、リテール決済サービス分野における単一市場の実現を妨げる要因になっている。欧州委員会はこうした現状を踏まえ、2013年7月にカード決済にかかる手数料に上限を設ける規制案を発表。昨年12月に加盟国の代表が法案の内容で合意していた。

国境を越えたデビットカード使用時の手数料は利用額の最大0.2%に制限される。国内での使用に関しては、新ルール導入から5年間は各カード会社の国内における年間取引額の加重平均の0.2%が手数料の上限に設定され、その後は利用額の0.2%が上限となる。少額取引については、5年間の移行期間終了後に取引一回当たり0.05ユーロを上限として手数料を設定する。一方、クレジットカード決済にかかる手数料は一律で利用額の3%が上限となる。

規制が適用されるのはフランチャイズ制のもと、カード発行銀行(イシュアー)、加盟店、加盟店の開拓や決済処理を行う銀行(アクワイアラー)、カード会員の4者でスキームを構成する「4パーティー制」を採用しているビザやマスターカードなどの国際ブランド。一方、カード発行から加盟店の開拓まですべて自社で行い、1つの銀行だけが関与する「3パーティー制」をとっているアメリカン・エキスプレスやダイナースなどは対象に含まれない。

法案は閣僚理事会の承認を経て、今年10月に発効する見通し。