欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/4/13

EU産業・貿易

原産国表示に関する新ルールが発効、豚・羊肉なども対象に

この記事の要約

EU域内で販売される食品のラベル表示に関する新規則が4月1日付で施行され、豚肉や家禽類の肉に対して原産国表示を義務付けるルールが導入された。牛肉についてはBSE(狂牛病)対策の一環として、2002年から原産国表示が義務化 […]

EU域内で販売される食品のラベル表示に関する新規則が4月1日付で施行され、豚肉や家禽類の肉に対して原産国表示を義務付けるルールが導入された。牛肉についてはBSE(狂牛病)対策の一環として、2002年から原産国表示が義務化されているが、対象を拡大してより高いレベルの食品安全と消費者保護を実現する。

EUは11年、食品のラベル表示に関する従来の規制を統廃合し、新たに「消費者への食品情報の提供に関する規則(新食品ラベル表示規則)」を採択した。原産国表示に関するルールは、栄養表示の義務化などと並ぶ新規則の柱の1つ。これまで原産国表示の対象は牛肉、果物、野菜、蜂蜜、オリーブオイルのほか、表示しなければ消費者の誤解を招く製品に限られていたが、今後は豚、羊、山羊、家禽類の肉(生鮮・冷蔵・冷凍)に対象が拡大される。

ただ、牛肉については02年に施行された規則により、出生国、飼育国、屠畜国の表示が義務化されているが、新たに規制対象となった牛肉以外の肉に関しては、コスト負担が大きすぎるとの理由で出生国の表示を義務付けるルールの導入は見送られた。また、欧州議会は原材料として使用する肉についても原産国表示を義務化するよう求めていたが、業界側の強い抵抗で規制の適用が見送られた。

EUでは13年1月に英国とアイルランドで発覚した馬肉混入事件を機に、改めて食の安全に対する関心が高まっている。これはビーフハンバーグなどの冷凍食品に本来は使用されていないはずの馬肉が混入していたもので、欧州委員会がその後に実施した調査では、牛肉100%と表示された加工食品の約5%から馬のDNAが検出され、域内で偽装表示が横行している実態が明るみに出た。

欧州消費者機構(BEUC)の代表は新ルール導入について「一歩前進」と評価したうえで、「より幅広い食品についてトレーサビリティを確保する必要がある」と指摘。牛肉以外の肉についても出生国などの表示を義務付けるほか、原材料として使用される肉も原産国表示の対象とすべきだとの考えを示している。