欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/4/20

総合 – 欧州経済ニュース

ポーランドとリトアニアのガス接続、早期実現を要請=バルト3国首脳

この記事の要約

エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国の首脳は17日、ポーランドのコパチ首相と欧州委員会のユンカー委員長に書簡を送り、ポーランドとリトアニアの送ガス網を相互接続するプロジェクトの実現に向けた取り組みを加速するよう求 […]

エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国の首脳は17日、ポーランドのコパチ首相と欧州委員会のユンカー委員長に書簡を送り、ポーランドとリトアニアの送ガス網を相互接続するプロジェクトの実現に向けた取り組みを加速するよう求めた。

ポーランドとリトアニアの送ガス網を接続するパイプライン「ガス・インターコネクション・ポーランド・リトアニア(GIPL)」は全長が約500キロメートル、年間23億立方メートルの輸送能力を持つ。総工費は5億5,800万ユーロで、2016年に着工し19年の開通を予定している。GIPLプロジェクトを進めるポーランドのガスシステムとリトアニアのアンバーグリッドは昨年4月、EUにプロジェクトへの補助金交付を申請した。

ウクライナ情勢をめぐってEUとロシアの対立が深まるなか、天然ガスや石油の大半をロシアからの輸入に頼るバルト3国ではエネルギーの安定供給に対する不安が高まっている。対ロシア依存から脱却するためには他のEU諸国のエネルギー網との相互接続を進め、EUのエネルギー網から孤立している現状を解消することが不可欠であり、そうした意味でGIPLに対するバルト3国の期待は大きい。ただ、リトアニア外交筋がAFP通信に明らかにしたところによると、ポーランド側がEUからより大きな支援を引き出すことを狙って計画を遅らせるとの懸念が浮上しているという。

バルト3国首脳は書簡の中で、「現在の欧州の地政学的状況を考えると、関係国が緊密に協力して行動することが非常に重要だ」と述べ、ポーランド政府に対し「欧州委との最終合意に向けた取り組みを加速させるため必要なあらゆる手段を講じる」よう要請した。