欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/4/27

EU産業・貿易

欧州委がGM作物輸入を追加認可、サントリーのカーネーションも対象に

この記事の要約

欧州委員会は24日、新たに10品種の遺伝子組み換え(GM)作物と2品種のGMカーネーションについて、EU域内への輸入を認可する方針を発表した。有効期間は10年間。また、すでに域内への輸入が認められている7品種のGM作物に […]

欧州委員会は24日、新たに10品種の遺伝子組み換え(GM)作物と2品種のGMカーネーションについて、EU域内への輸入を認可する方針を発表した。有効期間は10年間。また、すでに域内への輸入が認められている7品種のGM作物について、認可期間を10年延長することも併せて決定した。

EU内ではGM作物に対する懐疑論が依然として根強く、欧州委は認可ルールを見直すなかで2013年1月から承認手続きを凍結していた。新たに域内への輸入が認められるのは、米モンサント、デュポン、独BASF、バイエルクロップサイエンスが開発した食用および飼料用のトウモロコシ、大豆、ナタネ、ワタと、サントリーが申請していた2種類のカーネーション(IFD-25958-3およびIFD-26407-2)。一方、認可が更新された品種にはモンサントのトウモロコシ「NK603」をはじめ、デュポン、バイエルクロップサイエンス、米ダウ・アグロサイエンスが開発したトウモロコシやワタなどが含まれている。

欧州委は今回の決定に先立ち、EUが域内への輸入を認可している品種でも、加盟国が独自の判断で自国での販売を禁止できるようにする法案を打ち出した。GM作物の栽培に関しては、すでに加盟国に禁止権限を与える法案が正式に承認されており、流通段階でも各国政府の権限を強化する内容だが、新ルールの提案からわずか2日後に新たな輸入認可を発表したことで波紋が広がっている。

国際環境NGOグリーンピースのEU食品政策担当責任者フランツィスカ・アハテンベルク氏は「ユンケル欧州委員長は今週、大多数の加盟国が反対しているGM作物がEU市場を流通しないようにするという約束を破り、今度は米政府と米国のバイオテクノロジー企業を喜ばせるためだけに新たに多くの品種の輸入認可を決定した」と批判している。

一方、欧州バイテク企業の業界団体であるヨーロッパバイオは今回の決定を「正しい方向への一歩」と評価。欧州委に対し、保留になっている約40品種のGM作物についても速やかに認可するよう求めている。