欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/4/27

EUその他

ユーラトム、ハンガリーとロシアの核燃料供給契約を承認

この記事の要約

ハンガリー政府は20日、同国唯一の原発の原子炉増設計画をめぐりロシアと結んだ核燃料供給契約を欧州原子力共同体(ユーラトム)供給局(ESA)が承認したと発表した。これにより、原子炉増設プロジェクトは2018年の着工に向け大 […]

ハンガリー政府は20日、同国唯一の原発の原子炉増設計画をめぐりロシアと結んだ核燃料供給契約を欧州原子力共同体(ユーラトム)供給局(ESA)が承認したと発表した。これにより、原子炉増設プロジェクトは2018年の着工に向け大きく前進した格好だ。

ハンガリーとロシアは昨年1月、ブタペストの南方約100キロにあるパクシュ原子力発電所に新たに2基の原子炉を建設することで合意した。ロシア政府はハンガリーに対し、プロジェクト費用として最大100億ユーロを融資。ロシア原子力公社(ロスアトム)が設置工事のほか核燃料供給、廃棄物処理、保守業務も合わせて手がける。

EU加盟国が核燃料供給契約を結んだ場合にはESAの承認を受ける必要がある。しかしESAはロスアトムがパクシュ原発に独占的に燃料を供給するという契約内容に懸念を表明し、ロスアトム以外の業者も燃料を供給することができるよう契約を見直すよう要請。ハンガリーはこれを受け、当初は20年としていたロスアトムによる独占的な燃料供給期間を10年に短縮するとともに、他の燃料供給業者の参入を認める内容に改め、ロシア側もこれを了承した。

ハンガリーのラーザール首相府長官は会見で、核燃料供給契約がESAの承認を受けたことはパクシュ原発の増設計画にとって「重要な節目だ」と強調。「すべての障害が取り除かれた」として、プロジェクトを予定通り進めていく考えを示した。ただ、増設計画をめぐっては、国家補助や公共入札に関するEUの規定に違反している疑いがあるとして欧州委が調査を進めている。ラーザール長官は、これらの問題に関する欧州委との協議に今後半年程度を要するとの見方を示した。