欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/5/18

総合 – 欧州経済ニュース

難民受け入れに「割当制」、欧州委が提案

この記事の要約

地中海で移民や難民を乗せた密航船の転覆事故が相次ぎ、多くの犠牲者が出る事態となっていることを受け、欧州委員会は13日、新たな対策案を発表した。難民受け入れの公平な負担を目指す割当制度の導入などが柱だが、一部加盟国から反発 […]

地中海で移民や難民を乗せた密航船の転覆事故が相次ぎ、多くの犠牲者が出る事態となっていることを受け、欧州委員会は13日、新たな対策案を発表した。難民受け入れの公平な負担を目指す割当制度の導入などが柱だが、一部加盟国から反発の声があがっており、調整は難航が予想される。

EUでは難民の受け入れ数に加盟国によって大きなばらつきがある。昨年はドイツが4万560人を受け入れたのに対し、ポルトガルではわずか40人だった。欧州委の提案は、国内総生産(GDP)や失業率、総人口、既に受け入れている難民数などに応じて各国が割り当てられた人数を受け入れることで、負担の公平化を図るというもの。このほか、EU域外で暮らす難民を一定程度引き受け、EU域内へ「再定住」させることも盛り込まれている。欧州委のティーマーマンス第一副委員長は、「『地中海で人が死ぬのを止めなくてはならない』と言いながら、『この(救出された)人たちはどうなるのか』と問われると黙りこむことは許されない」と述べ、対策案の重要性を強調した。

対策案は来月のEU首脳会議で協議される予定。しかし英国のメイ内務相は英高級紙『ザ・タイムズ』に寄稿したコラムで、「欧州全土に難民を移転あるいは再定住化することを義務化する呼びかけに抵抗する」と述べ、早くも反対する姿勢を明確にしたほか、ハンガリー、スロバキア、エストニアなどの東欧の一部の国も経済的な負担が増すなどとして反発しており、加盟国全体で賛成を得られるかは不透明な情勢だ。