欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/6/1

EU情報

EU大型投資計画の制度設計、加盟国と欧州議会が合意

この記事の要約

EU加盟国と欧州議会は5月28日、欧州委員会が域内の景気浮揚策の柱として打ち出した大型投資計画の制度設計で合意した。これによって関連規則は6月中にEU財務相理事会と欧州議会本会議で最終承認される見通しで、柱となる「欧州戦 […]

EU加盟国と欧州議会は5月28日、欧州委員会が域内の景気浮揚策の柱として打ち出した大型投資計画の制度設計で合意した。これによって関連規則は6月中にEU財務相理事会と欧州議会本会議で最終承認される見通しで、柱となる「欧州戦略投資基金(EFSI)」は予定通り9月に運用を開始することが確実となった。

同投資計画は昨年11月に発足した新欧州委員会の看板政策。EUとEUの政策金融機関である欧州投資銀行(EIB)が拠出して創設するEFSIの210億ユーロの資金が元手となる。EIBが市場で資金を集め、630億ユーロまで増強し、これを使って投資リスクの一部を保証して民間企業が投資を行いやすい環境を整えることで、2015~17年の3年間で総額3,150億ユーロ以上の新規投資を呼び込む。交通、エネルギー、通信、教育、研究開発などのインフラ整備プロジェクトが対象となる。

加盟国は昨年末の首脳会議で計画の大枠を承認し、制度設計についても3月に合意していた。欧州議会との協議では、EUのEFSIへの拠出について、議会側の求めに応じ、研究開発・技術革新を促進する「ホライズン2020」計画とエネルギー、交通、通信ネットワーク関連のインフラ投資を促進するためのプログラム「コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(CEF)」の資金転用を減らし、EU予算からの拠出を増やすことで合意し、欧州議会の支持を取り付けた。

EFSIの関連規則はEU財務相理が6月19日、欧州議会が同24日に承認する予定だ。