欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/12

EUその他

「カーボンリーケージ」、高リスク部門のリスト公表

この記事の要約

欧州委員会は5日、温室効果ガス排出規制の緩い域外の第3国に生産拠点を移す「カーボンリーケージ」のリスクが高い産業部門を特定したリストを公表した。EU排出量取引制度(EU-ETS)の規定に基づき、対象となる産業部門には20 […]

欧州委員会は5日、温室効果ガス排出規制の緩い域外の第3国に生産拠点を移す「カーボンリーケージ」のリスクが高い産業部門を特定したリストを公表した。EU排出量取引制度(EU-ETS)の規定に基づき、対象となる産業部門には2015~19年の5年間、他の産業部門より高い割合で無償の排出枠が配分される。EU加盟国の代表で構成する気候変動委員会による採決の後、欧州議会とEU閣僚理事会の承認を経て、年内に最終決定される見通しだ。

EU-ETSの第1期間(05~07年)では全体の95%、第2期間(08~12年)でも90%の排出枠が対象施設に無償で割り当てられてきたが、第3期間以降は段階的にオークションによる有償割当への移行を進め、27年までに全面移行することが決まっている。ただし、EU指令は制度変更に伴う企業側の新たなコスト負担を抑えるため、特にカーボンリーケージのリスクが高い鉄鋼、アルミ、セメント、繊維などの産業部門を対象に、ベンチマーク方式により排出枠の無償割当を行う移行的支援措置を定めている。

10~14年を対象期間とする現行システムでは、164の産業部門とその下位セクターがカーボンリーケージのリスクが特に高い部門に分類されている。これに対し、15~19年のリストには新たに非電化式家庭用品や栄養食品などが盛り込まれており、欧州委は合わせて175の産業部門を保護対象とすることを提案している。