EU統計局ユーロスタットが3月31日発表した同月のユーロ圏のインフレ率(速報値)は前年同月比0.5%となり、前月の0.7%を0.2ポイント下回った。これは2009年11月以来の低水準で、デフレ懸念が一段と強まってきた。ユーロ圏は債務危機が沈静化し、景気回復も軌道に乗りつつあるが、デフレ回避が新たな課題となりそうだ。
インフレ率の縮小は3カ月連続。欧州中央銀行(ECB)が上限目標値とする2%を大きく割り込み、6カ月連続で1%を下回った。
分野別の上昇率は、エネルギーがマイナス2.1%となったほか、食品・飲料・たばこが0.5ポイント、工業製品が0.1ポイント、サービスが0.2ポイントの幅で縮小。価格変動が激しいエネルギー、食品、アルコール・たばこを除いた基礎インフレ率も1%から0.8%に縮小した。
ユーロ圏では2月までにギリシャ、ポルトガル、スロベニア、キプロスのインフレ率がマイナスとなっていた。3月はスペインが同国統計局の発表したデータでマイナスとなったことなどから、さらに縮小するのは確実と目されていたが、市場予測の0.6%を下回る水準まで下がった。