欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/6/29

EU情報

IAGがエアリンガス買収で是正策、欧州委は7月15日までに可否判断

この記事の要約

欧州委員会は25日、英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)などを傘下に持つインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)によるアイルランドの航空会社エアリンガスの買収計画について、同日までにIAGから競争上の是正策 […]

欧州委員会は25日、英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)などを傘下に持つインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)によるアイルランドの航空会社エアリンガスの買収計画について、同日までにIAGから競争上の是正策が提示されたことを明らかにした。提案の具体的な内容は不明だが、欧州委はこれを受け、初期調査の期限を2週間延期して7月15日とすることを決めた。

エアリンガスは当初、IAGの提案を拒否していたが、2度にわたり買収条件が引き上げられたことから、今年1月に大株主であるアイルランド政府(出資比率25%)と同国の格安航空大手ライアンエアー(同29.8%)の同意を条件に、総額およそ14億ユーロの買収提案に応じる方針を表明した。アイルランド政府はIAGに対し、買収後もエアリンガスのブランド名を維持し、別会社として運営することや、少なくとも7年間はエアリンガスが英ヒースロー空港の発着枠を維持することなどを要求。IAGがこれらの条件に同意したことから、政府は5月末に買収案を受け入れると発表した。一方、ライアンエアーはこれまでのところ態度を明らかにしていない。

欧州委はこれまでの調査から、仮に買収計画を認めた場合、ヒースロー空港におけるIAGの発着枠拡大によって不当に競争が阻害されるとの懸念を抱いているもよう。また、ダブリン~シカゴ便でもIAGの支配力が強まる事態を警戒しているとされる。ロイター通信は先に、IAGが是正策を提示しない限り、欧州委がエアリンガスの買収を認める可能性は極めて低いとする関係者の話を報じていた。