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2014/5/12

西欧

バイエル、米メルクのOTC薬事業など買収

この記事の要約

製薬大手の独バイエルは6日、米同業メルクの一般医薬品(OTC薬)などコンシューマーケア事業を買収すると発表した。買収額は142億ドル。今年下期の買収手続き完了を見込む。同社はOTC分野で世界最大手に浮上するという目標の実 […]

製薬大手の独バイエルは6日、米同業メルクの一般医薬品(OTC薬)などコンシューマーケア事業を買収すると発表した。買収額は142億ドル。今年下期の買収手続き完了を見込む。同社はOTC分野で世界最大手に浮上するという目標の実現に大きく近づいた。

バイエルは買収額をすべて現金で支払う。同社による買収では、市場2番目の規模となる。バイエルは同時に、同社の肺高血圧症治など循環器疾患の治療薬の開発、販売でメルクと提携することでも合意した。メルクはバイエルにまず10億ドルを支払うほか、新薬の開発、販売状況に応じて支払額を最大11億ドル上積みする。

メルクのコンシューマーケア事業にはOTC薬のほか、フットケアの「ドクター・ショール」、UVケア「コパトーン」などが含まれている。2013年の売上高は約22億ドルだった。バイエルのOTC薬の売上高は39億ユーロで、買収が実現すると55億ユーロ(74億ドル)に拡大。OTC世界最大手の米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)に次ぐ2位に浮上する。

製薬業界では世界的に再編の動きが強まっている。主要医薬品の特許が次々と切れ、各社が新たな収益源を確保しなければならないほか、主要国が医療費の削減に取り組んでいることが背景にある。製薬会社は打開策として競合するメーカーの買収などによって事業基盤を強化している。

OTC薬事業は利益率が低いものの、リスクが低く安定収入を確保できるメリットがある。英グラクソ・スミスクライン(GSK)は先ごろ、がん治療薬事業をスイスのノバルティスに売却する一方で、両社のOTC薬事業を統合して合弁会社を設立することで合意していた。