欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/9/14

EU情報

ブラウン管カルテルの制裁、東芝は無効・パナソニックは減額

この記事の要約

テレビやコンピューターのモニターに使われるブラウン管をめぐるカルテルで欧州委員会から巨額の制裁を科された5社が同決定を不服として提訴した問題で、欧州司法裁判所の一般裁判所は9日、欧州委に東芝への制裁撤回とパナソニックへの […]

テレビやコンピューターのモニターに使われるブラウン管をめぐるカルテルで欧州委員会から巨額の制裁を科された5社が同決定を不服として提訴した問題で、欧州司法裁判所の一般裁判所は9日、欧州委に東芝への制裁撤回とパナソニックへの制裁減額を命じる判決を下した。他の3社への制裁は妥当と判断した。

欧州委は2012年、オランダのフィリップスと韓国のサムスンSDI、LGエレクトロニクス、パナソニック、東芝、仏テクニカラー(旧トムソン)、台湾の中華映管の7社がブラウン管の販売でカルテルを結んでいたとして、カルテルを最初に通報して摘発に協力した中華映管を除く6社に総額14億7,051万ユーロの制裁を科した。EUによるカルテルへの制裁としては過去最高額となる。

日本企業の制裁額はパナソニックが1億5,747万ユーロ、東芝が2,804万ユーロ。さらに、当時はパナソニックと東芝の合弁会社だったMT映像ディスプレイ(現パナソニック子会社)と東芝、パナソニックが連帯責任で8,673万ユーロ、パナソニックとMT映像ディスプレイが連帯責任で788万ユーロの制裁を科された。

同決定に対して、テクニカラーを除く5社は事実認定に疑義があるなどとして提訴していた。一般裁判所はフィリップス、サムスンSDI、LGエレクトロニクスの3社に関しては訴えを退けた。しかし、東芝に関しては、欧州委がカルテル関与を立証できていないとして、単体で科した制裁を無効とした。また、パナソニック単体および連帯責任の制裁について算定に問題があったと認定し、パナソニック単体で1億2,890万ユーロ、MT映像ディスプレイと東芝、パナソニックの連帯責任で8,280万ユーロ、パナソニックとMT映像ディスプレイの連帯責任で750万ユーロに減額することを命じた。

欧州委は同日発表した声明で、「決定の大部分が支持された」として一般裁判所の判断を歓迎する意向を表明。一方、フィリップスは決定を不満として上訴する方針を示している。