欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/9/14

西欧

エーオン、原発事業の分社化を断念

この記事の要約

独エネルギー大手のエーオンは9日、発電事業分社化の対象から原子力発電事業を除外すると発表した。当初は原発事業も新会社ユニパーに移管し、廃炉コストも新会社に負担させる計画だったが、新会社が経営破たんすると廃炉コストを納税者 […]

独エネルギー大手のエーオンは9日、発電事業分社化の対象から原子力発電事業を除外すると発表した。当初は原発事業も新会社ユニパーに移管し、廃炉コストも新会社に負担させる計画だったが、新会社が経営破たんすると廃炉コストを納税者が負担することになる恐れがあるため、政府が難色を示し、エーオンに廃炉コストの保証義務を課す方向で法改正に乗り出したことから、同社は方針転換を余儀なくされた。

エーオンは昨年11月、従来型発電(原子力、石炭、天然ガス発電)事業などの分社化を打ち出した。電力卸価格の大幅下落など事業環境の変化を受けた措置で、経営資源を再生可能エネルギー、送電・送ガス網、顧客向けソリューションの3分野に絞り込む方針だった。

一方、政府は原発事業者の業績悪化を念頭に、ユニパーが仮に将来、経営破たんすると巨額の納税者負担が発生しかねないと懸念している。現行法では分社化した事業に対する親会社の責任負担期間が5年に制限されており、分社後6年目以降に経営破たんすると政府が負担を肩代わりせざるを得なくなるためだ。政府はそうした事態を回避するため、親会社に無期限の責任を負わせる方向で法改正の準備を進めている。

エーオンはこれを違憲として提訴も辞さない姿勢を示してきたものの、訴訟が長期化すると組織再編計画そのものが宙に浮く恐れがあるため、原発事業のユニパー移管を断念。エーオンの責任下にある新子会社プロイセン・エレクトラとしてグループ内にとどめることにした。原発を非中核事業化するとしたこれまでの方針は維持する。

プロイセン・エレクトラはエーオンの前身企業の1つであるVEBAの原子力事業のブランド名。来年1月に発足する新プロイセン・エレクトラはエーオンが国内で運営する3原発に対する責任を廃炉も含めて引き受ける。雇用規模2,300人。

ユニパーは予定通り来年1月1日付で発足する。エーオンの従業員1万4,000人が移籍。デュッセルドルフにあるエーオンの現本社を本社として利用する。