ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ、本社ベルギー)は7日、同2位の英SABミラーに約680億ポンド(約920億ユーロ)での買収を提案したことを明らかにした。実現すれば世界シェアの3割を握る巨大ビール会社が誕生するが、SABミラーは拒否している。
ABインベブは9月中旬、SABミラーに買収を打診したと発表していた。両社が明らかにしたところによると、ABインベブは水面下で1株当たり38ポンドでの買収を提案。SABミラーが応じなかったことから同40ポンドに引き上げたが、合意を取り付けることができなかったため、7日に42.15ポンドという条件を提示した。買収打診を公表した直前の株価に44%を上乗せした水準だ。
しかし、SABミラーは同日、この条件がなお同社の価値を著しく過小評価しているとして、取締役会が拒否を決めたと発表した。ただ、筆頭株主である米たばこ会社アルトリア(持ち株比率26.6%)は、ABインベブとの統合が「すべての株主にとって有益だ」として買収に応じる意向を表明し、SABミラー取締役会に合意に向けた交渉を行うよう働きかけていく方針を打ち出しており、条件次第で買収が実現する可能性もありそうだ。