2015/11/2

EU情報

携帯ローミング撤廃法案が可決、「中立性」の原則盛り込む

この記事の要約

欧州議会は10月27日の本会議で、EU域内の他の国で携帯電話を使用する際に徴収される国際ローミング(相互接続)料金の撤廃と、インターネットへのオープンなアクセスを維持するための「ネットワーク中立性」の原則を盛り込んだ法案 […]

欧州議会は10月27日の本会議で、EU域内の他の国で携帯電話を使用する際に徴収される国際ローミング(相互接続)料金の撤廃と、インターネットへのオープンなアクセスを維持するための「ネットワーク中立性」の原則を盛り込んだ法案を賛成多数で可決した。2017年6月15日までにローミング料金が原則として廃止され、EU市民は域内のどこに移動しても、自国と同じ料金水準で通話やデータ通信などのサービスを利用できるようになる。

EUでは2007年6月に採択された「携帯電話のローミングに関する規則」に基づき、域内の他の国で音声通話、ショートメッセージサービス(SMS)、データ通信を利用する際のローミング料金が段階的に引き下げられている。新ルールによると、完全撤廃に向けた段階的措置として、16年4月から通話時のローミング料金は発信時で1分当たり最大0.05ユーロ(現行規則では0.19ユーロ)に制限される。また、ショートメッセージングサービス(SMS)は1件当たり0.02ユーロ(同0.06ユーロ)、データ通信は1メガバイト当たり0.05ユーロ(同0.2ユーロ)が上限となる。着信時のローミング料金(現在は1分当たり最大0.05ユーロ)に関しては、年末までに上限が設定される見通しだ。

なお、消費者が通話料金の安い国でSIMカードを購入し、別の国で恒常的に利用するといった悪質なケースを防ぐため、事業者は現行ルールが定める上限の範囲内で少額のローミング料金を課すことが認められる。また、ローミング撤廃の影響で投資コストの回収が不可能になり、国内の通話料金を値上げしなければ採算が取れないことを事業者が証明できれば、各国当局の判断で例外的に最小限のローミング料を課金することが認められる。課金の条件など詳細については今後、欧州委員会と各国の当局者が協議する。

一方、「ネット中立性」ルールは16年4月から導入される。インターネット接続事業者(ISP)はすべてのトラフィックを公正に扱うことが義務づけられ、競合するサービスに対して意図的に通信速度を遅くしたり、データ通信量を制限するなどの差別的行為が禁止される。ただし、特に質の高いネット環境を必要とする「特殊なサービス」に関しては、一般的なネット接続に支障が出ないことを条件に、特定の事業者に高速接続を優先的に提供する「ファストレーン(高速車線)」の取り決めが認められる。また、サイバー攻撃への対処など、目的によってはトラフィックのブロックや制限を認める例外措置も盛り込まれており、米国で導入されたネット中立性に関する規則と比べて緩やかな内容になっている。