欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/11/9

EU情報

ユーロ圏、緩やかな景気回復続く=欧州委秋季予測

この記事の要約

欧州委員会は5日発表した秋季の経済予測で、ユーロ圏では緩やかな景気回復が続くとの見通しを示した。原油・ユーロ安と欧州中央銀行(ECB)の量的金融緩和の効果を見込んだもので、2015年の域内総生産(GDP)予想伸び率を1. […]

欧州委員会は5日発表した秋季の経済予測で、ユーロ圏では緩やかな景気回復が続くとの見通しを示した。原油・ユーロ安と欧州中央銀行(ECB)の量的金融緩和の効果を見込んだもので、2015年の域内総生産(GDP)予想伸び率を1.6%とし、春季の1.5%から0.1ポイント上方修正した。(表参照)

15年以降の予想伸び率は16年が1.8%、17年が1.9%。欧州委は16年について、「景気が引き続き緩やかなペースで回復する」としながらも、量的緩和などの効果が中国をはじめとする新興国経済の失速で薄れるとし、春季の1.9%から0.1ポイント引き下げた。

EU28カ国ベースの予想成長率は15年が1.9%、16年が2%、17年が2.1%。国別の15年の予測は、アイルランドが6%で最高となっている。ドイツは1.7%、フランスは1.1%、イタリアは0.9%、スペインは3.1%、英国は2.5%。一方、ギリシャは15年が1.4%、16年が1.3%のマイナスとなり、プラス成長に転じるのは17年と予想している。

景気回復に伴って雇用も改善する見通しで、欧州委は14年に11.6%だったユーロ圏の失業率が15年に11%、16年に10.6%、17年に10.3%まで低下すると予想。インフレ率に関しては、15年は0.1%にとどまるものの、原油価格の上昇によって16年には1%まで上昇するとみている。

一方、財政赤字については、ユーロ圏は15年にGDP比2%と、前年の2.6%から縮小するものの、主要国ではフランスが3.8%、スペインが4.7%と、EUの財政規律で上限となっている3%を超えると予測。スペインは17年に上限内の2.6%に改善するが、フランスは規律違反が続くと予想した。