2015/11/2

EU情報

欧州議会が証券金融取引の透明性ルール可決、シャドーバンキング規制を強化

この記事の要約

欧州議会は10月29日の本会議で、シャドーバンキング(影の銀行)の規制を目的とする「証券金融取引(SFT=Securities Financing Transaction)の報告と透明性に関する規則(案)」を賛成多数で採 […]

欧州議会は10月29日の本会議で、シャドーバンキング(影の銀行)の規制を目的とする「証券金融取引(SFT=Securities Financing Transaction)の報告と透明性に関する規則(案)」を賛成多数で採択した。通常の銀行システムを介さない金融取引の透明性を高めるため、市場参加者に取引情報の報告を義務付け、金融当局が正確に実態を把握して早い段階でリスクを察知できる体制を整える。閣僚理事会の正式な承認を経て新ルールが導入される。

世界的に銀行部門への規制が強化されるなか、シャドーバンキングを利用して規制を回避しようとする動きが広がっており、各国当局は金融システムの安定を脅かす新たな懸念材料として警戒を強めている。欧州委員会は金融危機の再発防止を目的に導入された一連の規制を補完するものとして、昨年1月にノンバンクへの証券金融取引に焦点を当てた規則案を発表。欧州議会と閣僚理で検討を進めていた。

規則案によると、現金を担保に債券を貸し借りするレポ取引や、債券を担保として資金の貸し出しを行うリバース・レポ取引など、あらゆる証券金融取引について事業者は取引情報蓄積機関(TR=trade repository)への報告が義務付けられる。また、投資ファンドによる証券金融取引に関しては、定期レポートなどを通じて投資家に情報を開示することが義務付けられる。さらに、ブローカーは顧客から預かった担保を自己取引の担保として再利用する「再担保」に際し、リスクやその他の情報を十分に説明したうえで事前に顧客の同意を得ることが義務付けられる。

一方、欧州中央銀行(ECB)が29日に公表したリポートによると、ユーロ圏におけるシャドーバンキングの資産規模は14年に約23兆ユーロに達し、金融システム全体の資産規模に占める割合は09年の33%から38%に拡大した。これに対し、金融機関が保有する資産規模の割合は5年前の55%から48%に縮小した。ECBは「ユーロ圏では銀行部門の総資産が08年の水準まで回復したが、ここ数年は主として影の銀行が金融資産の拡大を牽引してきた」と指摘している。