自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は25日、違法なソフトウエアでディーゼル車の窒素酸化物(NOx)排出量を操作していた問題で、修理方法を独連邦陸運局(KBA)に申請したしたと発表した。同修理方法はKBAの承認を得る見通しで、VWは今後、欧州連合(EU)全域向けの修理計画を作成し、来年初頭からリコール(無料の回収・修理)を開始する予定だ。
VWグループでは「EA189」というディーゼルエンジンの搭載車に違法ソフトがインストールされていたことが9月に発覚した。該当するのは欧州排ガス基準「ユーロ5」に対応した排気量2.0リットル、1.6リットル、1.2リットルの車両で、総数は1,100万台に上る。
VWは今回、2.0リットル車と1.6リットル車の修理方法についてKBAの承認を得た。1.2リットル車については今月末までに修理方法をKBAに申請する。
2.0リットル車の修理はソフトを入れ替えるだけ済み、所要時間は約30分。1.2リットル車もソフトの交換で足りる見通しという。
一方、1.6リットル車ではソフトを入れ替えるほか、エンジンへの空気吸入量を計測するエアフローメーターという装置の直前に乱れた空気の流れを調整するフロートランスフォーマーという格子状の部品を設置する。空気の流れが安定しているとエアフローメーターの測定精度が上がり、燃焼を最適化できるためだ。1.6リットル車の修理も1時間弱で終わる。
VWはこれらの修理により各車両が順守しなければならない排ガス規制のクリアを目指す。ただ、修理によって燃料消費量が増えたりエンジンの出力が落ちたりしないようにすることも重要な課題と位置づけている。修理の結果、性能が落ちると、損害賠償の支払いを請求されたり、補償金の支払いを余儀なくされ、今回の不正問題に絡むコストが膨らむためだ。
EU域内にはEA189搭載の2.0リットル車が約520万台、同1.2リットル車が約30万台あり、フロートランスフォーマーの取り付けが必要な1.6リットル車は約300万台に上る。