欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/12/7

EU情報

銀行破綻処理基金、来年1月に運用開始へ

この記事の要約

欧州委員会は11月30日、EU内の銀行の破綻処理を一元化する制度の柱となる「単一破綻処理基金(SRF)」が予定通りの2016年1月1日に運用を開始すると発表した。これによって破綻処理の一元化が1月から本格始動することにな […]

欧州委員会は11月30日、EU内の銀行の破綻処理を一元化する制度の柱となる「単一破綻処理基金(SRF)」が予定通りの2016年1月1日に運用を開始すると発表した。これによって破綻処理の一元化が1月から本格始動することになる。

銀行の破綻処理一元化は、すでに始動している銀行監督の一元化に続くEU銀行同盟創設構想の第2弾。銀行監督を欧州中央銀行(ECB)に一元化する制度に加わるユーロ圏18カ国が主体となるが、非ユーロ圏のうち英、スウェーデンを除く8カ国も参加し、計26カ国で実施する。

同制度は経営危機に陥った域内銀行の破綻処理を公的資金に頼らず迅速、公正に進めるのが目的。参加国の銀行に資金繰りの行き詰まりなどの問題が生じた際に「破綻処理委員会」が対応策を協議し、救済して再建するか閉鎖するかを決め、銀行の拠出によって創設されるSRFを使って処理を進めるという仕組みだ。

26カ国は昨年5月、SRF創設に関する政府間協定に調印。協定は各国による批准を経て、来年1月に発効することになっていた。欧州委によると、批准期限の11月30日までにギリシャ、ルクセンブルクの2カ国が参加に必要な法的手続きを完了しなかったが、EU理事会での議決権が合わせて90%以上を占める国々が批准すれば協定が発効するという規定を満たしたことから、同基金が予定通り始動する運びとなった。

破綻処理に活用するSFRは、各国の銀行による拠出を8年間にわたって積み立てて運用される。目標規模は対象銀行の保証付き預金の総額の少なくとも1%に相当する550億ユーロ。各国が銀行の負担で独自に創設した基金を8年間で段階的に統合するため、基金の完全共通化は2023年となる。創設1年目には全体の40%がSFRに移管される。