欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/12/14

EU情報

金融取引税導入が延期、エストニアは離脱

この記事の要約

EUの金融取引税導入をめぐる調整が難航している。独仏などユーロ圏11カ国で2016年1月から導入することになっていたが、8日に開いた財務相理事会では制度の詳細を詰めることができず、延期が決定。来年半ばの合意を目指すことに […]

EUの金融取引税導入をめぐる調整が難航している。独仏などユーロ圏11カ国で2016年1月から導入することになっていたが、8日に開いた財務相理事会では制度の詳細を詰めることができず、延期が決定。来年半ばの合意を目指すことになった。さらにエストニアが離脱を表明した。

金融取引税の導入は、リーマンショックに端を発した2008年の金融危機の元凶となった投機的な取引の抑制が目的。英国などが反対したことから、EU加盟国のうち9カ国以上が法案などに賛同すれば、それらの国だけで先行して実施できるというEU基本条約の規定に基づき、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ベルギー、ギリシャ、ポルトガル、スロベニア、スロバキア、エストニアの11カ国が導入することを決め、EU財務相理事会が13年に承認していた。

今回の協議では、すべての株式取引、デリバティブ取引の一部を課税対象とすることや、同制度に参加する加盟国で発行される株式などを課税対象とすることで合意し、一定の進展はあった。しかし、税率など詳細は決まらなかったことから、1月の導入を断念。来年半ばの決定を目指すことで合意した。

ロイター通信によると、エストニアは同国内で取引される金融商品の大半が同制度に加わらない国で発行されるもので、今回まとまった案では大きな税収が見込めないとして、離脱を決めたという。