欧州委員会は10日、EUの預金保護制度に関する新ルールの導入を怠っているイタリアなど10カ国に対して、早急の対応を正式に求めたことを明らかにした。対象国は2カ月以内の対応を求められる。
EUは1994年、銀行が破綻した際の預金者保護に関する共通ルールを導入。加盟国は2009年から10万ユーロを上限に個人預金を保護することが義務付けられている。04年には各国が銀行の負担で預金保険基金を設立することや、銀行が破綻してから預金が払い戻されるまでの期間短縮などを盛り込んだEU指令の導入で合意した。
加盟国は同指令に沿った国内法の整備を今年7月3日までに完了する必要があった。しかし、イタリアとベルギー、スウェーデン、ギリシャ、ルクセンブルク、ポーランド、ルーマニア、スロベニア、エストニア、キプロスの10カ国は期限内に作業を完了できなかったことから、欧州委は2カ月以内の対応を求めた。これに応じない国は欧州司法裁判所に提訴されることになる。
ユーロ圏では共通の預金保険保証制度(EDIS)を導入する計画が浮上しており、欧州委は11月、共通の預金保険基金「欧州預金保険基金」を17年に創設し、2024年から預金保険制度を一元化することを提案した。加盟国による同制度への参加は、このEU指令の履行が必要となる。