仏海運大手のCMA-CGMは7日、シンガポール同業ネプチューン・オリエント・ラインズ(NOL)を買収すると発表した。NOLの親会社であるシンガポール政府系投資会社テマセク・ホールディングスが保有する株式約67%を取得することで合意。残る株式もTOB(株式公開買い付け)で取得する。全株式を取得した場合の買収額は24億米ドルに上る。
1株当たりの買い取り価格は1.3シンガポールドル。前営業日(4日)の終値に6.1%を上乗せした水準だ。買収はEU、米国などの当局による承認が必要。来年半ばのTOB実施を目指す。
CMAはコンテナ海運でAPモラー・マースク(デンマーク)とMSCメディタレニアン・シッピング・カンパニー(スイス)に次ぐ世界3位。海運業界が世界経済の成長鈍化による需要低迷で厳しい状況に直面する中、収益拡大に向けた規模強化のため、NOL買収に踏み切った。海運業界の買収としては、APモラー・マースクが2005年にロイヤルP&Oネドロイド(オランダ)を29億6,000万ドルで買収して以来の大型案件となる。
CMAは同買収によって保有船舶が563隻に増加し、コンテナ海運市場のシェアが8.8%から11.5%に拡大。売上高は約220億ドルに達し、世界3位の地位を強固にする。
テマセク・ホールディングスはNOLの業績が海運不況の影響で悪化し、4年連続で赤字となっていることから、CMAによる買収に応じた。