日航などの航空貨物カルテル、欧州裁が制裁無効に

欧州司法裁判所の一般裁判所は12月16日、EUが日本航空など航空11社に対して、国際航空貨物のカルテルで総額約8億ユーロの制裁を科した決定を無効とする判決を下した。

EUの欧州委員会は2010年11月、日本航空、エールフランス─KLM、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)、ルフトハンザ航空、スカンジナビア航空(SAS)、キャセイ・パシフィック航空、エア・カナダ、カンタス航空、シンガポール航空など12社が、1999年から6年間に渡って「燃油特別付加運賃」(燃油サーチャージ)、安全対策に必要な費用を上乗せするセキュリティー・サーチャージを調整し、航空貨物運賃の価格カルテルを結んでいたとして、カルテルを通報して調査に協力したルフトハンザを除く11社に総額7億9,940万ユーロの制裁金支払いを命じた。制裁額はエールフランス─KLMが約3億1,000万ユーロで最高。日本航空は3,570万ユーロだった。

これに対して航空会社側は、欧州委は同一案件のカルテルが継続的に行われていたとして制裁を科したが、証拠として提示したのは一部の航空会社が関与したとされる4件の個別のカルテルだけで、全社が関わったことを立証していないと主張。同決定を不服として、欧州裁に提訴していた。

一般裁判所は航空会社側の言い分を認め、欧州委の決定には「矛盾がある」と指摘し、制裁を無効とする判決を下した。

欧州委は同判決に不服な場合、上訴することができる。欧州委は声明で「判決内容を慎重に精査した上で対応を決める」としている。

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