ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ、本社ベルギー)は14日、英SABミラー買収の認可を南アフリカの競争当局から取り付けるため、同国での人員削減を行わないことなどで政府と合意したと発表した。
南アでは企業の合併・買収に関して、現地の雇用など公益面での影響を重視し、可否を判断するのが特徴となっている。ABインベブはSABミラーが同国の経済に大きく貢献してきたことから、買収認可に向けて5年間は雇用を維持することや、現地のホップ、大麦農家などを支援する6,900万米ドル規模の基金を創設することで南ア政府と合意した。
インベブは昨年11月、ビール世界2位のSABミラーを買収することで合意したが、これによって巨大ビール会社となることから、関係国・地域で承認されるかどうかが大きな焦点となっている。
同社は同問題に対応するため、米合弁会社モルソン・クアーズの株式58%、伊ペローニ、オランダのグロルシュなどSAB傘下の欧州4社、SABミラーの中国事業の売却を決定済み。EUの欧州委員会は5月24日までに買収の可否を判断することになっている。