欧州中銀、金融政策維持を決定

欧州中央銀行(ECB)は21日に開いた定例政策理事会で、現行金融政策の維持を決めた。デフレ懸念はくすぶっているものの、3月に追加金融緩和を決めたばかりで、その効果を見極める必要があると判断した。

ECBは3月の理事会で、ユーロ圏のデフレ回避、景気下支えに向けて、大規模な金融緩和を決定した。国債などを買い取る量的緩和について、買い取り規模を月600億ユーロから800億ユーロに拡大し、新たに社債を買い入れ対象に含めた。また、民間金融機関が余った資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)のマイナス幅を0.3%から0.4%に拡大。主要政策金利も0.05%から0%に引き下げた。新たな長期資金供給オペ(LTRO)を開始し、民間銀行に低利の長期資金を供給することも決定した。

ユーロ圏では3月のインフレ率が0%と、ECBが上限目標値とする2%前後を大きく下回っている。景気回復の足取りも重い。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、追加緩和を決定してから銀行の貸し出しが増えているとして、当面は様子を見守る姿勢を示しながらも、引き続き物価動向を注意深く見守る意向を表明。その上で、必要があれば「あらゆる手段を用いて対応する」と述べ、追加の金融緩和に踏み切る用意があることを強調した。市場では新たな措置に関して、量的緩和の規模拡充、期間延長が有望との見方が出ている。

ECBの金融緩和をめぐっては、ユーロ圏の中心であるドイツで、目立った効果がなく、超低金利が国内の年金生活者など預金者や銀行を圧迫しているとする批判が強まっている。これに対してドラギ総裁は、「稀な例外を除いて、過去4年間の成長を支えた政策は我々の金融政策だけだった」と反論。ECBの独立性を強調し、「我々の責務はユーロ圏全体の物価の安定にある。ドイツだけのためにあるのではない」と不快感を示した。さらに、金融緩和の効果が最大限に発揮されるためには、ユーロ圏各国による経済の構造改革も必要と指摘した。

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