欧州議会とEU加盟国は19日、域内鉄道市場の完全自由化に向けた包括法案「第4次鉄道パッケージ」の内容で基本合意した。2020年までに国内旅客輸送サービスを開放して他国の事業者が参入できるようにし、競争を促進してEU鉄道市場を活性化させるのが法案の狙い。欧州議会と閣僚理事会の正式な承認を経て新ルールが導入される。
EUは2001年以降、貨物輸送を先行させる形で段階的に鉄道輸送の市場開放を進めきた。10年には国際旅客サービスを自由化し、域内の主要都市を結ぶ高速鉄道に各国の鉄道会社が相互参入できるようになった。しかし、強力な国鉄労組を抱えるフランスやベルギーなどに加え、自国企業の競争力低下を懸念する中・東欧諸国で自由化反対論が根強く、欧州委員会は「最後の聖域」となっている国内旅客サービスを17年までに開放する方針を打ち出したものの、加盟国の反対で頓挫した経緯がある。
法案によると、加盟国は20年12月のダイヤ改正に合わせてEU内の鉄道事業者が域内の他の国でサービスを提供できるよう、国内旅客輸送の市場開放を進める必要がある。また、国内旅客サービスの事業者選定にあたり、現在は各国当局が直接指名するケースが多くなっているが、23年以降は原則として競争入札を実施し、客観的な基準に基づいて事業者を選定することが義務付けられる。さらに鉄道インフラを管理する事業者はすべての鉄道事業者に対し、非差別的アクセスを保証することが求められる。