欧州委員会は20日、ウクライナの市民がEUの大部分の国を旅行する際のビザ(査証)取得義務免除を提案した。EU加盟国と欧州議会の承認を経て最終決定となる。実現すれば、ウクライナ人旅行者はシェンゲン協定参加国(英国、アイルランドを除くEU諸国とノルウェー、アイスランド、スイス、リヒテンシュタイン)にビザなしで渡航できるようになる。
欧州委によると、ビザを免除するのはシェンゲン協定参加国での滞在期間が90日以内の短期旅行者。生体認証(バイオメトリック)パスポートの保有者が対象となる。
EUはウクライナとの連携を強化しており、自由貿易協定(FTA)を柱とする連合協定に昨年6月に調印した。ビザ免除に関しては、2008年から協議を行ってきた。欧州委はウクライナでビザ免除の前提となる司法・内部分野の改革が進んだことから、すべての条件を満たしたとして、免除を正式に提案した。
ビザ免除の実現について、欧州委のアブラモプロス委員(移民・内務担当)は「極めて早い時期」になるとコメント。ウクライナのポロシェンコ大統領は「数カ月以内」との見通しを示している。