ユーロ圏がギリシャの債務軽減を初協議、24日の合意目指す

EUは9日、臨時のユーロ圏財務相会合を開き、ギリシャの金融支援問題について協議した。追加融資に関する合意は見送られたものの、ギリシャが9日に財政改革法案を可決したことを評価し、債務軽減策について初めて正式な議論を行い、24日の次回会合での合意を目指すことで一致。追加融資に関しても近日中の決着を図ることを確認した。

EUは昨年7月、債務危機が続くギリシャにユーロ圏が総額860億ユーロの第3次金融支援を実施することで合意。これまでに第1弾となる260億ユーロの融資を実行した。残る融資の実施は、ギリシャが約束した財政再建など改革の実行状況を“トロイカ”と呼ばれる債権団の欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)が検査し、“合格”と判定することが条件となる。

現在行われているのは第1次検査。ギリシャは7月に満期を迎える約23億ユーロの国債の償還に必要な資金を確保するためには同検査をパスする必要があるが、さらなる年金改革、増税などをめぐって債権団と対立し、協議は難航していた。

ギリシャ政府は第1次検査の通過、追加融資の実施に向けて、年金削減と増税を盛り込んだ財政改革法案を9日未明に可決した。しかし、2018年までの財政改善目標を達成できない場合に国内総生産(GDP)比2%に相当する緊急の追加緊縮策を実施するというIMFの要求をめぐる調整が積み残されていることから、9日の財務相会合での合意には至らなかった。

一方、債務の軽減に関しては、初めて実現に向けた協議が行われ、元本削減は認めないものの、債務返済期限の延長、利払い軽減などの手法でギリシャの負担を減らす方向で交渉を進めることを確認。24日の次回会合までに事務レベルで調整を進めることになった。

IMFは第1、2次支援には参加したが、3次支援への参加は見送っている。ギリシャの債務問題を根本的に解消するためには債務の減免が必要と主張し、その実現を同支援参加の主要条件とするIMFに対して、ドイツなどが反対してきたためだ。元本は削減しないが負担を減らすという妥協案がまとまり、実施が決まれば、IMFの支援参加に向けて大きく前進することになる。

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