欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/2

EUその他

デジタルエコノミー課税、租税回避対策強化を=専門家委員会最終報告

この記事の要約

EUのデジタルエコノミーへの課税に関する上級専門家委員会は5月28日、欧州委員会に提出した最終報告書の中で、租税回避への対策を強化するよう求めるとともに、税政策における官僚主義の打破の必要性を訴えた。 ポルトガルのガスパ […]

EUのデジタルエコノミーへの課税に関する上級専門家委員会は5月28日、欧州委員会に提出した最終報告書の中で、租税回避への対策を強化するよう求めるとともに、税政策における官僚主義の打破の必要性を訴えた。

ポルトガルのガスパル前財務相を座長とする上級専門家委員会は、デジタルエコノミーへの課税をめぐる主要課題を検討し、この分野における様々な問題とチャンスへの最適なアプローチに関するアイデアを提示するよう欧州委から求められていた。

最終報告書は、経済全体のデジタル化が進行する中で、デジタルエコノミーだけに特別な課税ルールを適用することは適当ではなく、課税ルール全体を見直していくべきだと強調。2015年からデジタルサービスにミニワンストップショップとともに付加価値税(VAT)の仕向地主義課税が適用されることを評価するとともに、(BtoC取引における)すべてのモノとサービスにこの制度を拡大適用することを提言した。

法人税の分野では、G20と経済協力開発機構(OECD)の「税源浸食と利益移転(BEPS)プロジェクト」が、租税回避や濫用的タックスプランニング対策の土台となると指摘。加盟国に対し、EU全体にとって有益な結果が得られるよう共通の立場を確保するよう求めた。BEPSプロジェクトにおけるEUが最優先で取り組むべき課題として、有害な租税競争対策、移転価格ルールの見直し、課税プレゼンスの定義と適用の再検討などを挙げた。

欧州委は専門家委員会の最終報告書を検討したうえで、デジタルエコノミー課税に関する政策の方向性を決定する。