2014/6/9

総合 – 欧州経済ニュース

ECBが異例の包括的金融緩和決定、預金のマイナス金利導入など

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は5日に開いた定例政策理事会で、デフレ回避、景気対策として異例の包括的な追加金融緩和策の実施を決めた。ユーロ圏18カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.25%から0.1ポイント引き下げ、過去最 […]

欧州中央銀行(ECB)は5日に開いた定例政策理事会で、デフレ回避、景気対策として異例の包括的な追加金融緩和策の実施を決めた。ユーロ圏18カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.25%から0.1ポイント引き下げ、過去最低の0.15%とする。さらに、銀行の貸し渋りを解消するため、民間金融機関が手元資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)をゼロからマイナス0.1%にするほか、金融機関が融資を増やすことを条件に長期資金を追加供給するといった流動性供給措置も導入する。

政策金利の引き下げは昨年11月以来7カ月ぶり。預金金利のマイナスは、スウェーデン、デンマークの中銀が導入した例はあるが、主要国・地域の中銀では初めてとなる。両金利とも11日から適用される。

ユーロ圏ではインフレ率が極めて低い水準で推移するディスインフレが続いており、5月のインフレ率はECBが上限目標値とする2%を大きく下回る0.5%まで縮小した(後続記事参照)。景気回復の足取りが重く、経済活動がなお停滞していることで物価が上がらない状況にあるためで、ECBは同日発表した内部経済予測で、14年の予想インフレ率を0.7%とし、前回(3月)の1%から大幅に下方修正した。ユーロ圏の14年の域内総生産(GDP)予想伸び率も1.2%から1%に引き下げた。

今回の追加金融緩和は、こうした状況の改善が目的。政策金利はすでに過去最低水準にあり、ほとんど利下げ効果が見込めないことから、預金金利をマイナスにするという異例の措置に踏み切った。金融機関は必要と認められる額を超える預金に手数料を徴収されることになる。銀行の資金が塩漬けとならず、実体経済に回るようにする狙いがある。

さらにECBは流動性対策として、新たな長期資金供給オペ(LTRO)で総額400億ユーロを金融機関に供給することを決めた。今年9月から16年6月まで3カ月ごとにオペを実施し、政策金利に0.1%を上乗せした低利の長期資金を供給する。返済期限は各オペとも18年9月で、初回オペでの借り入れは返済期間が4年となる。

11年12月と13年2月に実施された3年物資金の供給オペでは、資金の用途が限定されていなかったが、今回のオペでは企業や個人への貸し出しを増やすことが条件となる。今年9、12月のオペでは、各金融機関に今年4月末時点の融資残高(金融機関向け融資と住宅ローンを除く)の最大7%に相当する額を供給。その後のオペは、今年5月以降の融資増加分に応じて資金供給を増やす仕組みとなる。主に資金繰りが厳しい中小企業への融資を促進し、景気を底上げする意図がある。

このほかECBは、低利の短期資金を無制限で金融機関に供給する措置について、2015年7月となっている実施期限を2016年12月まで延長することを決定。また、ECBはユーロ圏の重債務国の国債を買い入れる「証券市場プログラム(SMP)」の実施で高まった金融市場の流動性を吸収する「不胎化」措置として、2010年5月から取得した国債の残高と同額の資金を供給するオペを毎週実施しているが、10日から同措置を中止する。これによって約1,650億ユーロの資金が還流することになる。

ECBは低インフレ、低成長対策として、手持ちの政策手段を総動員した格好だ。しかし、ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、「これで終わりかと問われれば、答えはノーだ」と述べ、必要に応じて追加金融緩和を実施する用意があることを言明。ECBは声明で、量的緩和策として、企業向け融資を裏づけとする資産担保証券(ABS)の買い入れを検討していることを明らかにした。