欧州委、OTT事業者の規制強化を検討

欧州委員会が情報通信分野の規制見直しの一環として、インターネット経由でメッセージや音声、動画コンテンツなどを提供する「OTT(Over The Top)」サービスに対する規制を強化し、これまで通信事業者を対象としてきたネットワークのセキュリティや通信の秘密保持に関するルールをOTT事業者にも適用する方向で検討を進めていることが明らかになった。欧米メディアが15日、欧州委の内部文書をもとに報じた。欧州委は9月に現行指令の改正案をまとめる見通しで、その中にOTTサービスに対する規制強化策が盛り込まれるもようだ。

欧州委は情報通信分野への投資を促進して高速ブロードバンドの基盤整備を進めることや、通信事業者とインターネットサービス事業者に対する規制のあり方などに重点をおいて現行ルールの見直しを進めている。

米マイクロソフトのインターネット電話「スカイプ」や米フェイスブック傘下のメッセージングアプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」をはじめとするOTTサービスをめぐっては、仏オレンジや英ボーダフォンなど大手通信事業者が欧州委に対して規制強化を強く求めている。オレンジは欧州委が意見募集を行った際、ネット経由で既存の通信事業者と同様のサービスを提供するOTT事業者だけが暗号化技術を使って通信データを保存したり、加工することが許されている現状を問題視。既存の通信インフラを利用して事業展開するグーグルやフェイスブック、マイクロソフトなどを念頭に、「世界規模で展開するOTT事業者は通信事業者と異なり、顧客の通信データや位置情報などの商業利用が許されている」と指摘し、OTT事業者にもネットワークのセキュリティや通信の秘密保持に関するルールを適用するよう求めていた。

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