ロシアが伝染病の発生を理由にEU産豚肉の輸入を禁止しているのは不当としてEUが提訴している問題で、世界貿易機関(WTO)の上訴委員会は23日、EU側の主張を認めた紛争処理小委員会(パネル)の決定を支持する裁定を下した。これで同問題はEUの勝訴が確定した。
ロシアは2014年1月、ウクライナ問題をめぐる欧米の経済制裁に対する報復措置として、EUからの豚肉の輸入を全面的に禁止した。リトアニアとポーランドで野生のイノシシのアフリカ豚コレラ感染が発覚したという名目だった。
これに対してEUは、感染が報告されていない加盟国も含めた全面禁輸は不当で、WTOのルールに反すると主張。リトアニア、ポーランド産以外の豚肉の輸入再開を求めたが、ロシア側が応じなかったため、同年4月に提訴。WTOのパネルは昨年8月、禁輸に科学的な根拠はなく、適正な手続きを踏んでいないとして、EUを支持する裁定を下した。これを不服としてロシアは上訴したが、決定は覆らなかった。
ロシアは敗訴確定により、輸入禁止の解除を迫られる。応じない場合は、EUがWTOのルールに沿って制裁手続きに着手することになる。