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2014/6/23

西欧

仏がエネルギー政策見直し法案発表、原発依存度を50%に縮小

この記事の要約

フランス政府は18日、包括的なエネルギー政策見直し法案を発表した。原子力発電への依存を減らすことを柱とする内容。再生可能エネルギー発電などを増強することで、バランスの取れたエネルギー供給体制の構築を図る。 フランスの電力 […]

フランス政府は18日、包括的なエネルギー政策見直し法案を発表した。原子力発電への依存を減らすことを柱とする内容。再生可能エネルギー発電などを増強することで、バランスの取れたエネルギー供給体制の構築を図る。

フランスの電力の原発依存度は75%と、先進国で最高となっている。同法案では、2012年の大統領選でオランド大統領が掲げた2025年までに同割合を50%に縮小するという公約を踏襲。原発の発電容量は現在の63.2ギガワット(GW)を上限とし、原発を除く再生可能エネルギー発電が総発電量に占める比率を25年までに40%に引き上げるという目標を定めた。同発電が全エネルギー消費に占める比率を30年までに32%に拡大する方針も打ち出した。

化石燃料の消費は30年までに12年の水準と比べて30%減らす。再生可能エネルギー発電に関しては、20年までに発電容量を3,000メガワット(MW)まで拡大するという既存計画を見直し、上積みする。日照に恵まれた南仏を中心に、太陽光発電プラントを増設する方針も打ち出した。

エネルギー消費は50年までに12年比で50%削減する。その実現に向けた具体策として、住宅・建物のエネルギー効率改善に向けた断熱などの改装・改築工事を奨励するため、今年9月から15年12月末までに行われる工事の費用の30%に相当する減税措置を適用する。

このほか、電気自動車(EV)の普及に向けて、30年までに充電スタンドを国内の700万カ所に設置することや、ディーゼル車からEVに買い替える人に最大1万ユーロを助成することなどを盛り込んだ。

同法案では原発の廃炉については触れていない。しかし、ノルマンディー地方で建設中のフラマンヴィル原発が16年に稼働を開始する予定であることから、上限規定を守るため国内に58基ある原発のうち最も旧式である東部フェッセンアイムの原発が閉鎖されるのは避けられない見通しだ。