スロベニアの国有資産管理機関は2日、通信最大手の国営テレコム・スロベニアの民営化入札を公示した。財政再建の一環で、公募型指名競争入札を通じて発行済み株式の75.58%を売却する。応札期限は4月23日。
スロベニアの財政は、不動産向け融資の焦げ付きで多額の不良債権を抱える国内銀行に総額32億ユーロの公的資金を注入したことで悪化しており、2013年の累積公的債務は国内総生産(GDP)比72%と、08年の23%から大幅に膨らんだ。
このため政府は昨年、国営企業15社を民営化し、株式売却で調達した資金を債務圧縮に充てる計画を発表した。企業価値が10億ユーロを超えると推定されるテレコム・スロベニアの売却が最大の目玉となっている。
同社は国内で約42%のシェアを確保しているほか、コソボ、マケドニアなどバルカン諸国でも事業を展開している。13年通期決算の売上高は7億9,900万ユーロ。
スロベニアは2008年にテレコム・スロベニアの民営化入札を実施し、アイスランドの通信会社と米・独・国内の投資会社のコンソーシアム(企業連合)の2グループが応札したが、価格が想定額を下回り、不調に終わった経緯がある。今回は独通信最大手ドイツテレコムの応札が有力視されている。
民営化対象の15社のうち、これまでに売却手続きが完了したのは、国営銀行ノヴァ・クレジトナ・バンカ・マリボール(NKBM)など2社。国有資産管理機関によると、フォトナ(医療機器メーカー)、ヘリオス(塗料メーカー)の2社で、売却が最終段階に入っている。