欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/30

EUその他

大西洋北東部で漁業資源が回復、地中海では乱獲が深刻化

この記事の要約

欧州委員会は26日、EU海域における2015年の漁獲可能量(TAC)および国別漁獲割当を決定するための土台となる年次報告書を公表した。大西洋北東部では漁業資源が回復傾向にあるものの、地中海では乱獲による個体数の減少が続い […]

欧州委員会は26日、EU海域における2015年の漁獲可能量(TAC)および国別漁獲割当を決定するための土台となる年次報告書を公表した。大西洋北東部では漁業資源が回復傾向にあるものの、地中海では乱獲による個体数の減少が続いており、事態が深刻化していると警告している。欧州委は9月30日まで報告書に対する意見を受け付け、各方面からの反応を踏まえて今秋中に15年のTACおよび国別漁獲割当を提案する。

EUでは昨年、水産資源の乱獲をなくして持続可能な漁獲水準を確保するためのEU共通漁業政策(CFP)の改革案が採択され、今年1月に漁獲物を海に投棄する行為を段階的に禁止するルールなどが導入された。欧州委は国際海洋調査評議会(ICES)や漁業に関する科学技術経済委員会(STECF)などの勧告や助言を踏まえ、CFP改革の施行後初となる漁業資源の現状について報告書をまとめた。

それによると、地中海の深海では96%、中深層でも71%の漁業資源が乱獲されている。また、黒海では深海に生息するすべての魚種と遠海魚の33%が乱獲されている。一方、北海やアイスランド沖などの大西洋北東部では漁業資源が回復傾向にあり、2009年は86%(35種のうち30種)が乱獲されていたのに対し、現在はこの割合が41%(46種のうち19種)まで改善している。