欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/7

EU産業・貿易

露がモルドバ・ウクライナの食品に輸入規制、EUとの連合協定署名で報復

この記事の要約

ロシアは5日までに、ウクライナとモルドバで生産された食品に対する輸入規制を導入した。ウクライナ、モルドバとグルジアは6月末にEUと自由貿易協定(FTA)を含めた連合協定に署名しており、プーチン政権は3カ国に対し、ロシアの […]

ロシアは5日までに、ウクライナとモルドバで生産された食品に対する輸入規制を導入した。ウクライナ、モルドバとグルジアは6月末にEUと自由貿易協定(FTA)を含めた連合協定に署名しており、プーチン政権は3カ国に対し、ロシアの自由貿易圏に影響が及ぶ場合は保護的な措置を講じると警告していた。

ロシア農産物監督局は2日、モルドバからの精肉製品の輸入を大幅に制限する方針を打ち出した。ロシアの衛生基準を満たしていないとの理由で、5日から食肉処理・加工された牛肉、豚肉、馬肉、羊肉の輸入が禁止された。2日にはモルドバ議会がEUとの連合協定を批准する一方、ロシア政府はモルドバ国内の親ロ派で事実上の独立状態にある沿ドニエストルの指導者との間で、主に経済・貿易面での連携強化を目指す協定を締結しており、精肉製品の輸入規制は親EU路線に転じたモルドバ政府に対する報復と受け止められている。

一方、ロシアの消費者権利保護・福祉監督局(ロスポトレブナドゾル)は4日、ウクライナの首都キエフに本社を置くミルキランドの乳製品に微生物が含まれていたとして、同日から7つの工場で生産されたチーズなどの輸入を禁止すると発表した。ロスポトレブナドゾルによると、これまでにミルキランドの別の工場で生産された乳製品の輸入が禁止されている。シュバイカ農業・食糧相は「ウクライナの乳製品は国際的な衛生基準を満たしている」と反論し、ロシア側の対応を強く批判している。

ロシアはこれまでにもモルドバやグルジアのワイン、ウクライナのチョコレートなどの輸入を規制してきた。いずれもロシアの衛生基準や安全基準を満たしていないとの理由によるものだが、当事国とEUは自国への影響を懸念するロシア政府の政治的な思惑が背景にあるとして批判を強めていた。今後、EUと3カ国のFTAが発効した場合、ロシアは関税引き上げなどの対抗措置を講じる可能性が高く、ウクライナ情勢をめぐって対立が続くEUとロシアの関係がさらに悪化するおそれがある。