欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/7

EU産業・貿易

EUの対ロ経済制裁、EIBなどの融資凍結も

この記事の要約

混迷が続くウクライナ情勢を背景に、EUがロシアに対する追加制裁の一環として、欧州投資銀行(EIB)や欧州復興開発銀行(EBRD)による同国への融資を制限する方向で検討しているもようだ。欧米メディアがEU関係者などの話とし […]

混迷が続くウクライナ情勢を背景に、EUがロシアに対する追加制裁の一環として、欧州投資銀行(EIB)や欧州復興開発銀行(EBRD)による同国への融資を制限する方向で検討しているもようだ。欧米メディアがEU関係者などの話として報じた。ウクライナ東部では停戦期限が切れた今月1日以降、政府軍と親ロ派の間で戦闘が激化している。事態収拾に向けて具体的な動きがみられない場合、EUはロシアに対する制裁を強化する構えをみせており、今月16日の首脳会議で具体策を協議する可能性がある。

ロシアは昨年、パイプラインの整備や企業買収などのプロジェクトのためにEBRDから18億ユーロの融資を受けた。一方、EIBは14億ユーロのロシア向け融資を承認している。

ロイター通信によると、欧州委員会は4月にまとめた対ロ経済制裁の影響分析に関する報告書で、EIBによる融資の凍結を「緩やかな制裁」の選択肢の1つとして検討していた。EIBの広報担当は「EIBはEUの政策金融機関であり、完全にEUの方針に沿って行動している」と述べるにとどめ、事実関係についてのコメントは控えた。

一方、ブルームバーグによると、EBRDではロシアによるクリミア併合以降、出資国の間でロシア向け融資の正当性を疑問視する声が上がっている。カナダ政府の代表は5月にワルシャワで開かれたEBRDの年次総会で、「ロシアがウクライナへの不法な侵略を続ける限り、正常なビジネス環境は確保されない」と指摘し、EBRDの役割を見直す必要があるとの認識を示した。ただ、EBRDにはロシア自身も出資しており、実際に同国への融資を制限することは容易ではない。EBRD幹部はロイターの取材に対し、これまでのところ主な出資国はロシアへの融資凍結に否定的な見解を示していると説明している。