欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/14

EUその他

仏セルヴィエなどに4.3億ユーロの制裁、後発薬の投入制限で

この記事の要約

欧州委員会は9日、仏製薬会社レ・ラボラトワール・セルヴィエがイスラエルのテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズなどジェネリック薬(後発医薬品)5社と談合し、同社が開発した高血圧症治療薬「ペリンドプリル」の後発薬の […]

欧州委員会は9日、仏製薬会社レ・ラボラトワール・セルヴィエがイスラエルのテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズなどジェネリック薬(後発医薬品)5社と談合し、同社が開発した高血圧症治療薬「ペリンドプリル」の後発薬の投入を遅らせたのはEU競争法違反に当たるとして、関係6社に総額約4億2,770万ユーロの制裁金支払いを命じた。

制裁対象となったのはセルヴィエと後発薬メーカーのテバ、米マトリックス・ラボラトリーズ(現マイラン・ラボラトリーズ)、インドのユニケム・ラボラトリーズ、ルピン、スロベニアのクルカ。

欧州委は同問題に関して、2007年に調査を開始していた。その結果、セルヴィエが07年から12年にかけて後発薬メーカーと「ペイ・フォー・ディレイ」と呼ばれる不当な協定を結び、特許切れが近づいていたペリンドプリルの後発薬投入を遅らせる見返りに相当額の金銭を支払うことを取り決めたり、各社の開発技術を買収することで後発薬の発売を遅らせた疑いがあるとして、12年7月に各社に異議告知書を送付。最終的に違法行為があったと認定し、制裁に踏み切った。

各社の制裁額は、セルヴィエが3億3,099万ユーロ、マトリックスが1,716万ユーロ、テバが1,557万ユーロ、ユニケムが1,397万ユーロ、ルピンが4,000万ユーロ、クルカが1,000万ユーロ。セルヴィエは違法行為を否定しており、同決定を不服として提訴する構えを示している。

新薬を開発したメーカーが代償を払って後発薬の投入を遅らせる問題をめぐっては、欧州委は12年6月、デンマーク製薬大手のルンドベックが複数の後発薬メーカーと共謀し、同社の抗うつ剤「シタロプラム」の特許が失効してからも後発薬が出回るのを遅らせたとして、関係各社に1億4,600万ユーロの制裁金支払いを命じた。さらに、昨年12月には米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)がノバルティス(スイス)に対して、J&Jが開発した鎮痛薬の後発薬のオランダへの投入を遅らせたとして、総額1,630万ユーロの制裁金支払いを命じており、同様の問題でEUが制裁に踏み切るのは今回が3件目となる。