欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/14

西欧

セメント大手2社が資産売却リスト発表、合併認可に向けスリム化へ

この記事の要約

合併で合意したセメント大手の仏ラファージュとスイスのホルシムが、合併認可に向けた大規模な資産売却に乗り出している。両社は7日、合併で誕生する新会社「ラファージュホルシム」の資産売却候補のリストを発表。買い手を募集して、膨 […]

合併で合意したセメント大手の仏ラファージュとスイスのホルシムが、合併認可に向けた大規模な資産売却に乗り出している。両社は7日、合併で誕生する新会社「ラファージュホルシム」の資産売却候補のリストを発表。買い手を募集して、膨れ上がった事業の一部を手放してスリム化を進め、EUの欧州委員会など関連国・地域の独禁当局の承認を取りつけたい考えだ。

セメント販売で世界1位のホルシムと2位ラファージュは4月、合併で合意した。新会社「ラファージュホルシム」は売上高が約400億ユーロに上る巨大セメント会社となる。2013年の販売量は約2億7,500万トンに達し、3位の独ハイデルベルグセメントの3倍を超える。

セメントの2強である両社の合併をめぐっては、セメント市場では世界的に寡占が強まることから、当局からすんなり認められる可能性はなく、かなりの規模の資産を手放して競争上の問題を解消する必要がある。このため、ラファージュとホルシムは売上高ベースで50億ユーロ規模の資産を売却する方針だ。

同日発表されたのは、売却候補の第1弾のリスト。両社の事業重複が集中する欧州のフランス、ドイツ、英国、オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、セルビアのほか、カナダ、フィリピン、ブラジル、モーリシャスの事業が含まれる。対象事業の売上高は約35億ユーロに上る。インド、中国、米国事業は対象外。両社によると、売却が完了すれば欧州事業がグループ売上高に占める比率は29%から20%に縮小する。

売却の目玉となっているのが、ラファージュと英鉱業大手アングロ・アメリカンが折半出資で運営する合弁会社で、英最大の建材会社であるラファージュ・ターマック。アングロ・アメリカンが保有する株式50%をラファージュが少なくとも8億8,500万ポンド(約11億1,000万ユーロ)で取得し、完全子会社した上で、第三者に売却する。

両社によると、売却候補の買収には、すでに約50社の金融、投資、セメント会社が名乗りを上げており、即座に交渉を始めるという。

ホルシムとラファージュは2015年上期までの合併手続き完了を目指している。最大の難関になるとみられるのが、欧州委による合併の可否をめぐる審査。両社は今夏に認可を申請する。審査の過程で、すでに打ち出した資産売却が不十分と判断されれば、新たな売却を進めることになる。