欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/21

EU産業・貿易

EUとエクアドル、通商協定で基本合意

この記事の要約

欧州委員会は17日、EUとエクアドルの間で貿易・投資の拡大を目指す通商協定が基本合意に達したと発表した。EUと南米アンデス諸国との通商協定はペルー、コロンビア(2013年3月、8月に発効)に次いでエクアドルが3番目。今後 […]

欧州委員会は17日、EUとエクアドルの間で貿易・投資の拡大を目指す通商協定が基本合意に達したと発表した。EUと南米アンデス諸国との通商協定はペルー、コロンビア(2013年3月、8月に発効)に次いでエクアドルが3番目。今後、双方で協定案の修正作業を進め、早期の署名・発効を目指す。

EUとエクアドルは2009年に通商協定の締結に向けて交渉を開始したが、EU向けバナナの関税などをめぐって調整が難航し、同年7月に交渉が中断された。エクアドルのコレア大統領は対米自由貿易協定(FTA)交渉を打ち切るなど自由貿易に反対の立場を明確にし、EUに対してもFTAは締結しないとの方針を表明していた。しかし、持続的な経済成長のためには石油や農産品といった一次産品に依存した経済構造から脱却し、産業部門の育成を急ぐ必要があるとして、昨年の大統領選挙では貿易拡大を公約の柱に掲げて再選を果たし、今年1月にEUとの交渉が再開された。

協定案の具体的な内容は公表されていないが、EU向け工業製品の関税が撤廃される一方、エクアドルは政府調達や知的財産権などの分野でEU側に譲歩したものとみられる。焦点のバナナに関しては、輸入量が一定の水準を超えた場合に関税を引き上げるセーフガード条項が盛り込まれたもようだ。

欧州委によると、2013年のEUとエクアドルの貿易額は約49億ユーロ(EUからの輸出が23億ユーロ、輸入が25億ユーロ)で、バナナがEU向け輸出の約3分の1を占めている。エクアドルは現在、EUの一般特恵関税制度(GSP)の適用を受けているが、15年1月1日付で受益国リストから除外されることになっている。