伊政府が19年予算案を閣議決定、欧州委が見直し指示か

イタリア政府は14日、2019年の予算案を閣議決定し、EUの欧州委員会に提出した。EUの財政規律を順守しているものの、赤字が当初の目標を上回る水準となっており、欧州委が見直しを命じると目されている。

EUの財政規律では、各国は単年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑える必要がある。伊の19年予算案では、赤字は許容範囲内のGDP比2.4%だが、前政権が目標に掲げたGDP比0.8%を大きく上回る。6月に発足したポピュリズム(大衆迎合主義)政党「5つ星運動」と「同盟」の連立政権が、「ばらまき政策」に舵を切り、退職年齢の引き下げ、貧困層への特別給付、自営業者の減税などを盛り込んだことが背景にある。

EUはギリシャに端を発した債務危機の再発を防止するため、ユーロ参加国の財政監視強化策として、13年から各国の予算案を欧州委が事前に審査する制度を導入しており、各国は次年度予算案を議会の承認に先立って欧州委に提出し、審査を受けることが求められる。

伊政府は歳出拡大で経済成長が進めば税収が増え、GDP比130%台に膨れ上がっている政府債務を圧縮できるとして、「ばらまき」批判に反論しているが、欧州委が財政規律軽視を問題視し、承認を拒否する可能性が高い。欧州委は18日、イタリア政府に同予算案が財政規律に逸脱しているとして警告する書簡を送った。欧州委が加盟国の予算案を拒否し、見直しを命じるのは初となる。

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