スペイン議会は8日、北東部カタルーニャ自治州が提出した独立の是非を問う住民投票の実施を求める請願を、反対299、賛成47の圧倒的多数で否決した。これより、中央政府と独立分離派の溝がさらに深まる恐れが出てきた。
スペインの国内総生産(GDP)の5分の1を占めるカタルーニャ州は独自の言語を持ち、自治権拡大を求めて長く闘ってきた歴史を持つ。ここ数年続いてきた経済危機をきっかけに、中央政府に対する不満が高まり、独立機運が一気に強まっている。州政府はこうした状況を背景に、今年11月9日に独立の是非を問う住民投票を行う方針を示し、スペイン議会に対して投票を実施する権限の付与を認めるよう請願を提出していた。ラホイ首相率いる保守与党・国民党と、最大野党・社会労働党、中道の進歩民主主義連合はいずれも、住民投票を断固阻止する構えを見せていたため、否決は確実視されていた。
ラホイ首相は、「カタルーニャなしのスペインは想像できない」と述べ、同州がスペインにとどまるべきだと主張。さらに、スペイン憲法は同国の主権にかかわる住民投票は一地域だけではなく全国で実施しなければいけないと定めているとして、住民投票は違憲であるとの見解を改めて示した。スペインの憲法裁判所は先月、カタルーニャの独立住民投票をめぐり、「国への帰属を決める住民投票を州が一方的に行うことはできない」として違憲判決を下した。これに対しカタルーニャ州政府は、2006年に制定された州自治憲章は、州に住民投票を実施する権限を付与していると反論している。
カタルーニャ州政府のマス首相は議会での採決結果を受けて、「彼らはカタルーニャの人々が投票することを恐れている。これで問題は片付いたという意見もあるかも知れないが、私はカタルーニャの首相として、これで終わりではないと彼らに言う」と述べ、住民投票を実施する方向で引き続き中央政府に働きかける考えを示した。