欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/28

EU産業・貿易

WTOが紛争処理小委員会設置、EU・露の2件の通商紛争で

この記事の要約

世界貿易機関(WTO)は22日、EUとロシアの2件の通商紛争で、紛争処理小委員会(パネル)を設置した。ウクライナ危機をめぐって双方の関係が緊張化する中、通商紛争も激化することになる。 パネルで紛争処理が行われるのは、ロシ […]

世界貿易機関(WTO)は22日、EUとロシアの2件の通商紛争で、紛争処理小委員会(パネル)を設置した。ウクライナ危機をめぐって双方の関係が緊張化する中、通商紛争も激化することになる。

パネルで紛争処理が行われるのは、ロシアによるEU産豚肉の輸入禁止と、ロシア製の鉄鋼製品、化学肥料に対するEUの反ダンピング(不当廉売)措置発動をめぐる問題。

ロシアは1月、リトアニアとポーランドで野生のイノシシにアフリカ豚コレラが発生したことを受け、EU産豚肉の輸入を全面的に禁止した。これに対してEUは、感染例が報告されていない加盟国の豚肉も一律に輸入を禁止するのは不当だと主張し、4月にWTOに提訴。6月にパネル設置を要請していた。

一方、ロシアは、EUがロシア製の鋼管など鉄鋼製品や化学肥料に対して、生産者が国内のエネルギー価格が低いことに支えられて、製品を廉価でEUに輸出し、域内業界を圧迫しているとして、2002年から「エネルギー調整課税」という名目で事実上の反ダンピング税を課していることに反発。昨年12月にWTOに提訴した。ロシアが2012年8月にWTOに加盟してから初の対EU提訴となる。

このほかEUは、ロシアがEU製の新車と中古車に廃車処理税を課している問題でも、昨年7月にWTOに提訴し、すでにパネルが設置されている。