ESMAと英中銀、清算機関めぐる情報交換で合意

EUの欧州証券市場監督機構(ESMA)と英中央銀行のイングランド銀行は4日、英国が合意なしでEUから離脱しても、域内の金融決済が混乱しないようにするため、清算機関などの監督に必要な情報交換を続けることで合意した。「合意なき離脱」に至った場合でも、EU内の金融機関が英国内の清算機関を当面は利用できるようにする協定の締結に向けた条件整備のひとつとなる。

欧州ではデリバティブ取引の中央清算機関(CCP)としてロンドン証券取引所グループのLCHクリアネットが圧倒的なシェアを握っている。3月末に英国がEUとの合意がないまま離脱した場合、EU内に拠点を置く金融機関はLCHクリアネットを利用できなくなるため、デリバティブ取引の決済処理が行われず市場に深刻な影響が及ぶ。

このためESMAは2018年、「合意なき離脱」に至っても、英の関連規制がEUと同等と認め、英国のCCPと証券集中保管振替機関(CSD)を認定することで、当面は英の清算機関がEUの顧客へのサービス提供を継続できるようにすることを決定。ESMAとイングランド銀行がCCP、CSDに関する情報交換の枠組みを設けることが、同認定の条件のひとつとなっていた。

ESMAは英国がEUを離脱する3月29日までに英のCCP、CSDを正式認定し、金融システムの混乱を避けたい考えだ。

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