合意なき離脱で導入される英金融規制、15カ月の猶予期間を設定へ

イングランド銀行(英中銀)と英金融行為監督機構(FCA)は2月29日、英国が合意のないままEUから離脱した場合に発効する新たな金融規制の運用ルールを公表した。銀行や保険会社、資産運用会社などが新規制に対応できるよう、15カ月の猶予期間を設ける方針を示している。今後さらに検討を加え、今月29日の離脱日までに最終案をまとめる。

英国では現在、EUの金融規制に沿って制定された国内法が運用されているが、合意なき離脱を迎えた場合、離脱から一定期間(当初の合意では2020年末まで)はEU単一市場や関税同盟に残留できる「移行期間」も設けられずにそのままEU規制の枠組みから外れ、離脱翌日から英国独自の新たな規制が導入されることになる。

在英の金融機関はさまざまなシナリオを想定して離脱に向けた準備を進めてきたが、離脱と同時にEUから放り出されて経済が混乱する「クリフエッジ(崖っぷち)」が現実味を帯びる中、新規制への対応が間に合わない事態も予想される。

FCAのベイリー長官は英議会で新規制の導入に向けた進捗状況を報告し、金融機関はそれぞれ離脱に向けて準備を進めてきたが、現状では合意なき離脱に伴う混乱を回避できる保証はないと指摘。「猶予期間を設けることで市場の不安を和らげ、規制面の予測可能性をある程度確保できる」と述べた。

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