英スーパー大手2社の統合、英競争当局が阻止

英競争・市場庁(CMA)は25日、英スーパーマーケット大手のセインズベリーと米ウォルマート傘下の同業アズダの統合計画を阻止すると発表した。業界2位のセインズベリーと同3位アズダの統合が実現すると寡占化が進み、商品の価格上昇や品質の低下につながると結論づけた。ディスカウントストアやネット通販との競争が激化する中、経営統合で生き残りを図る大手2社の戦略は見直しを余儀なくされた。

セインズベリーとアズダは2018年4月に経営統合で合意した。実質的にセインズベリーがアズダを買収する形。実現すると統合新会社は英全土で約2,800店を運営し、売上高が510億ポンドと、英スーパー市場で31%のシェアを占め、テスコを抑えて最大手に浮上するはずだった。

統合計画をめぐっては、一段の寡占化による競争阻害を懸念する食品会社などが強く反発し、CMAが早い段階から調査を進めていた。今年2月にまとめた暫定報告では全国的に競争が減り、消費者は価格上昇や品数の減少に直面する怖れがあると指摘。統合計画を撤回するか、多くの店舗を売却する必要があると警告していた。

海外事業の見直しを進めるウォルマートにとって、統合計画の頓挫は大きな痛手だ。ブルームバーグ通信は25日、CMAの決定を受け、ウォルマートがアズダについて、新規株式公開(IPO)を含めた選択肢を模索していると報じた。匿名を条件に関係者が明かした情報によると、ウォルマートは上場以外に改めてアズダの売却を検討する可能性もあるという。ただし、現時点で投資会社からの関心は薄いという。

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