英最大野党の労働党は4月30日に開いた全国幹部会議で、欧州議会選挙の公約として、EU離脱の是非を問う国民投票を条件付きで再実施する方針を打ち出すことを決めた。党内では無条件の再投票実施を求める声があるが、従来の路線を踏襲した。
英国は3月29日にEUを離脱する予定だった。しかし、英政府とEUが2018年11月に合意した離脱協定案を英下院が3度にわたって否決ことから、離脱期限を10月31日まで延期することが決まった。このため、協定案が早期に可決されなければ、英国は5月23日の欧州議会選に参加することになる。
労働党は関税同盟残留など、今後もEUとの緊密な関係を維持する形での離脱を党の方針に掲げてきた。党内では離脱をめぐる混迷を打開するため、無条件で国民投票を再実施し、離脱撤回に持ち込むことを求める勢力が少なくないが、幹部会議は離脱協定案が与野党協議で労働党が望む方向に見直されないか、総選挙が実施されない場合に限って、再投票を支持するという方針を公約に盛り込んだ。党内と支持層の離脱強硬派、EU残留支持派の双方に目配りし、従来の方針を維持した格好となる。