欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/8/4

総合 – 欧州経済ニュース

英がEUからの移民の流入制限強化へ、失業手当給付期間を短縮

この記事の要約

英国のキャメロン首相はこのほど、EU加盟国からの移民の流入を制限するため、新たな措置を導入する意向を表明した。総選挙を前に反EU政党に対抗するのが狙いで、移民への失業、児童手当の給付期間を短縮する。 英国ではEUの中東欧 […]

英国のキャメロン首相はこのほど、EU加盟国からの移民の流入を制限するため、新たな措置を導入する意向を表明した。総選挙を前に反EU政党に対抗するのが狙いで、移民への失業、児童手当の給付期間を短縮する。

英国ではEUの中東欧諸国などから、同国の手厚い社会保障制度の恩恵を受ける目的で大量の労働者が流入し、財政を圧迫しているとの批判が強まっている。これを受けてキャメロン首相は昨年11月、移民流入制限策を打ち出し、これまでに失業手当や児童手当の受給要件を厳しくしたほか、同国に入ってから1カ月後に受給資格が認められていた同手当の給付を3カ月後に延長し、給付期間を最長6カ月に制限する措置を導入した。

首相が同日付の英デイリー・テレグラフに掲載された寄稿で明らかにした新措置では、就業の見込みがないまま滞在している移民への失業、児童手当の給付期間を6カ月から3カ月に短縮する。

英国では反EU、移民排斥を掲げる英国独立党(UKIP)が支持を伸ばしており、5月の欧州議会選挙では同党が与党・保守党を抑えて第1党に躍進した。キャメロン首相の移民制限強化には、2015年の総選挙に向けて反EU派を支持層に取り込み、政権を維持したいという思惑がある。

ただ、EUでは原則的に各国が労働市場を完全開放するとともに、社会保障で自国民と他の加盟国の労働者を同等に扱うことになっていることから、欧州委員会は同措置の妥当性を検証する見通しだ。