欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/8/4

総合 – 欧州経済ニュース

欧州委に金融専門委員職を新設、ユンケル次期委員長が検討か

この記事の要約

欧州委員会の次期委員長に任命されたルクセンブルクのユンケル前首相が、11月に発足する新体制の欧州委に、金融政策専門の委員職を新設することを検討しているもようだ。7月30日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。 […]

欧州委員会の次期委員長に任命されたルクセンブルクのユンケル前首相が、11月に発足する新体制の欧州委に、金融政策専門の委員職を新設することを検討しているもようだ。7月30日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。

欧州委では現在、規制など金融分野の政策は域内市場・サービス総局が管轄しており、バルニエ委員が担当委員となっている。しかし、同委員の担当分野は金融のほか知的財産権からスキー指導員の免許まで多岐にわたる。このため、ユンケル次期委員長は金融危機の再発防止に力を入れるため、金融に特化した総局と委員職の新設を検討しているとされる。FTは新総局は域内市場・サービス総局の銀行部門を切り離し、経済金融総局の金融安定化を担当する部門と合体させる形になると報じている。

EUは金融危機の反省を踏まえて、ユーロ圏の銀行監督と銀行の破綻処理の一元化を決めるなど、金融政策の中央集権化を進めている。ユンケル氏の構想はこうした流れの延長線上にあるものだが、金融主権の維持にこだわる英国の反発が予想される。

欧州委員は加盟国が1人ずつ指名する候補者から選ばれ、各候補者の担当分野はユンケル氏が決めることになっている。FTは金融担当委員の候補として、フィンランドのカタイネン元首相、オランダのデイセルブルム財務相などの名前を挙げている。