欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/8/4

EU産業・貿易

ユーロ圏銀行が企業向け融資基準を7年ぶり緩和、融資需要も拡大=ECB調査

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)が7月30日発表した四半期ごとの銀行貸出調査によると、ユーロ圏の銀行が2014年第2四半期(4~6月)に企業向けおよび家計向けの融資基準を緩和したことが分かった。企業向け融資基準が緩和されたのは20 […]

欧州中央銀行(ECB)が7月30日発表した四半期ごとの銀行貸出調査によると、ユーロ圏の銀行が2014年第2四半期(4~6月)に企業向けおよび家計向けの融資基準を緩和したことが分かった。企業向け融資基準が緩和されたのは2007年第2四半期以来7年ぶり。また、企業向けと家計向けの双方で融資の需要が拡大しており、金融機関は第3四半期も引き続き需要が強まると予測している。

ECBは6月26日~7月11日にユーロ圏の137行を対象に調査を実施した。それによると、融資基準を「緩和した」と回答した銀行から「厳格化」と回答した銀行を差し引いたネットの比率は3%だった。第1四半期はネットで1%が融資基準を厳格化していた。国別にみると、フランスやイタリアで融資基準が緩和傾向にあるのに対し、ドイツ、スペイン、オランダでは横ばいとなっている。家計向け住宅ローンはネットで5%の銀行が第2四半期に融資基準を緩和した。

一方、資金需要の動向は、ネットで4%の銀行が第2四半期に企業向けの融資需要が「増加」したと回答しており、前期の2%を上回った。また、家計向け住宅ローンの融資需要が増加したと答えた銀行は、前期の差し引き13%から19%に拡大した。歴史的に見れば、融資基準は依然として「相対的に厳しい」水準にあるものの、調査に参加した銀行は第3四半期もすべてのカテゴリーで融資需要が増加すると予測している。

ECBは6月初めの理事会で、銀行の貸し渋りを解消するため、民間銀行が中央銀行に預け入れる預金の金利をマイナスにし、一定の水準を超える預金に手数料を課す「マイナス金利」の導入や、金融機関が融資を増やすことを条件に、長期資金を追加供給する流動性供給措置を盛り込んだ金融緩和策を打ち出した。

ベレンバーグ銀行の上級エコノミスト、クリスティアン・シュルツ氏は「ECBの政策が銀行に影響を与え、市場のセンチメントが改善していることは間違いない。今回の調査結果は全体として正しい方向に進んでいることを示す新たな一歩だ」とコメントしている。